ニュースで、アメリカ大統領選挙のことをやっていた。
イラクで死んだ米兵の遺族は、この選挙をどう捉えるのかというような内容だった。
この中で一人の兵士の母親が「息子を死なせた戦争が、今更間違っていただなんて絶対認められない。
私はブッシュを支持します」というようなことをコメントしていた。
まあ遺族としてはそうなんだろうなあと思う。ただ国際問題をこういう私的な感情から
捉えることは決して正しいことではない。民主主義が、国民一人一人の膨大な意思の総体として
国を動かしているとすればなおさらだ。こういうプロパガンダが安易にお茶の間に
流れてしまうのもどうだろうかと思う。政治決定というのは時として徹底した冷酷なまでの
クールさが求められるはずなのである。9.11で徹底して遺族の感情を国民感情にすり替えて
起こした戦争こそイラク戦争であり、結果的にイラクの民間人におおよそアメリカ人には
想像もできないくらいの数の犠牲者が出てしまっている。


民主主義を広げると言う大義の元にイラクを席巻している当のアメリカが
この程度なのだから、本当にイラクの人はいたたまれない気持ちになるだろう。
そして同じロジックで、また同じようなことを飽きもせずに繰り返すこの傲慢な姿勢こそが
この世界をある意味本当に損なっている、真の元凶なのだということに
多分アメリカ人は永遠に気づくことは無いのかもしれない。