設計製図のエスキース


たしかに山本理顕のいうとおり建築の社会性なんてものは
個人的な思い入れ以上のものではないのだろう。
とりわけ住宅という個人的な建物の中にいったいどんな社会性が
あり得るのかという問題を考えると、住宅の持ちうる社会性は
ほとんどないといえるかもしれない。でも都市という集合のなかに
単純に物質的に存在するという事実だけで、十分に都市に対する責任は
発生しうると思う。隙間を縫うように建てるだけが建築的という訳ではないだろう。
外から見ても、内から見ても、相互に都市と建築が解け合うような
ありかたはやっぱり必要。どうしようもない箱的な密度の中ではなくて
隙間の密度こそを問題にすべきで、それだけでも批判的な意味を持つことは可能だろう。


敷地の隙間をトレースしていくと住宅の輪郭ができるような
その隙間と、建物がすこしでいいから親密な関係を持ち得るような
空間のあり方としての試行。