僕がこの本を、村上春樹なんて全く知らずにタイトルだけで手に取ったのが5年くらい前のはなし。高校生のときか。以来、村上春樹が好きなんだけど、一番好きなのは一番最初に読んだ「ノルウェーの森」あとは「神の子どもたちはみな踊る」かな。ほかの作品、部分部分で好きでも、実は全体として理解できないという感じ。現実と遊離したような世界観が飲み込めないのです。「ノルウェーの森」いまだに読み返しても新鮮で、旅行のときにはよく持って行きます。


しかし「ノルウェーの森」は200万部とか300万部とかいわれるほどのベストセラーなんですね。ちなみに片山恭一の「世界の中心で愛を叫ぶ」はそれ以来、十数年ぶりのヒット作らしいです。これもたまたま本屋で見つけて読んで、本離れしていた僕をまた呼び戻してくれたという意味で思い出深い。いろいろ叩かれてるみたいだけれど、そんなに悪い本じゃないし。でも個人的には「もしも私が、そこにいるならば 」のほうが良いと思いますけどね。「ジョン・レノンを信じるな 」「きみの知らないところで世界は動く」「満月の夜、モビイ・ディックが 」はよくわからないなあという感じ。いま最新作の「雨の日のイルカたちは 」を読んでいるけれど、どうかなあという雰囲気ですね。ただ例の9.11について、素朴な感情を書き上げているのかもしれないというふうに思う。売れっ子作家がストレートにこういうテーマに向かうのは良いんじゃないかなあと。


ちなみに、もともと純愛小説は「ジョン・レノンを信じるな」以前から構想としてあったらしいしですね。アマゾンのレヴューの批判派はマーケティングのことを盛んにいうけれど、批判としては的外れですよね。だいたい独創的なストーリーを生み出すことが作家ではないし、ありふれたストーリーを透明感あふれる文章で描ききるのは実力じゃあないかと。文章表現の薄さはまあ確かに気になるところではありますけどねえ。「泣ける」っていうのが先回りしすぎてるのかもね。


まあ僕は文学した感じの本とか、昔の本って根本的に苦手なので、あてにはならないわけですが。そもそも日本の作家しか読まないしなあ。